リスニングを飛躍的に伸ばす5つの要素と4つのコツ

「英語が聞き取れない…」英語を学習者であれば一度はぶつかる壁だと思います。僕が初めてメルボルンへ来た時もワカラナイの連続でした。この壁にぶつかった人であれば分かると思うのですが、めちゃめちゃ悔しいですよね!友人の「時間が経てば聞き取れるようになるよ!」なんてアドバイスも全く参考になりませんよね!そんな人は、ぜひ見てください!

リスニングは聞き流しても上達しない

日本では、聞き流すだけで英語がワカルようになることを謳う某英語教材などの影響で、「聞き流し」がリスニングの主流になっているのですが、これを英語初学者が行い続けてもリスニング力は一切伸びていきません。僕は通学の時間や寝る前の時間を使って、合計3時間ほど毎日聞き流しの時間に費やしていましたが、僕のリスニングが伸びることはありませんでした。

そもそもリスニングは、聞き流しても聞き取れるようにはなりません。

英語を1つの言語として脳が認識していない状態でいくら英語を聞いても、1種の音楽のメロディのように、全てを受け流してしまいます。結果として、「英語が聞き取れない・言っていることがワカラナイ」に繋がっていきます。

リスニングにおいて大切なのは、精聴すること。

いくら多聴し、どれだけ英語を耳にしても、脳は英語を英語として捉えてくれません。そしてどれくらい長く海外に滞在したとしても、英語力は全く伸びていかないのです。

リスニングを飛躍的に伸ばすために必要な5つの要素

英語が聞き取れるようになるには理由があります。その要素を1つずつ満たしていくことができれば、リスニング力は着実に伸ばすことができます。リスニングを伸ばすために必要な要素は以下5つです。

リスニングに必要な5つの要素

・英語の音を聞き取れる

・知っている英単語や表現の幅が広い

・文法的知識がある

・単語や表現、文法を日本語を介さず理解できる

・話している内容を知っている

1つずつ順に解説していきます!

英語の音を聞き取れる

英単語や英語の文章は音の組み合わせによってできています。1つの音をしっかりと聞き取れていない状態でいくら英語を聞いてもリスニング力は伸びてはいきません。日本人が英語が聞き取れない主な原因は、英語の省略音や単語と単語の繋がりの音(リンキング)が聞き取れていないこと、です。日本語であっても言葉を省略することがあるように、英語でも日常的に言葉をカットすることはよくあります。

日本の場合

・それはないだろ→それはねーだろ

・何だった?→何だっけ?

英語の場合

How are you? → How r ya?

How would you like? → How ju like?

省略音やリンキングは日常茶飯事に使われるため、その部分が聞き取れるようになるとリスニング力は飛躍的に伸びる可能性があります。オーストラリア英語ですが、省略された音やリンキングなど顕著にわかる動画があるので、参考にしてみてください!

知っている英単語や表現の幅が広い

単語の適切な発音やアクセントを知っていないと、仮に読んだり見たりするとわかる単語であっても、耳で聞いた時に別の単語に聞こえてしまいます。日本人は受験の際、自分の方法やカンで英語を日本語に依存する形で英語を学ぶことが多いため、発音が本来の英語からズレていたり、アクセントを異なるもので記憶していることが多々あります。そうなると、耳から聞いた英語は自分の頭の中にある英語一致しないので、別の単語や表現に聞こえてしまい、英語が聞き取れなくなります。

また、知らない単語や表現は発音やアクセントも知らない可能性が高いので、聞き取ることも非常に難しくなります。逆に発音やアクセント自体はわかってもその意味がわからなければ英語を聞き取れるということにはなりません。単語や表現の意味を知っていて、且つ発音やイントネーションがわかって初めて、正しい聞き取りができるようになります。

発音やイントネーションも含め、知っている単語数や表現の幅もリスニング力には大きく影響するのです。

英文法の知識がある

また、文法の知識もリスニングには大きく影響します。というのも、リスニングをする時は前から区切って理解するようにトレーニングしていくのですが、文法的な繋がりが見えないとどこで区切って良いかわからないので、英語の意味が取れなくなってしまいます。特に関係代名詞や修飾関係など英文が長ければ長いほど構造が複雑になるので、文法的な知識の欠如は前から区切る技術を身につける際に大きなハードルとなります。

しかし、文法的なことと言っても難しい文法を学ぶ必要はなく、高校までで習うような基本的なことを徹底的していれば、ある程度長い英文にぶつかっても聞き取れるようになります。あとは前から区切る練習をどれだけ積むかによって、文法自体の理解も深まっていくので、同時並行で取り組んでいただければと思います!

英単語や表現、文法を日本語を介さず理解できる

リスニング中、英語は絶えず流れていきます。その時に日本語で理解するプロセスを踏んでしまうと、脳の処理速度が追いつかず、結果として、英語の音を聞き逃すことになります。特に英語初学者の場合、英語を読んだり聞いたりするとまずは日本語に和訳して理解しようとします。それは英語を理解する軸のようなものが必要で、日本語がなければ英語を言語として認識することができないからです。つまり、脳内は「英語→日本語→英語」なのです。

しかし、ある程度の英語力がつくまでは日本語は英語力を底上げする手助けになりますが、一定以上の英語力がつくと、それは逆に障害になることがあります。例えば、リーディングをしている時は英語の情報がドンドン流れ込んでくるため、いちいち日本語で理解していては時間はいくらあっても足りません。リスニングにおいても英語は切れ間なく流れてきます。特に会話の中で日本語を介しながら理解しようとしてもお話になりません。

つまり、「英語→英語」で理解できるよう、日本語のプロセスを省略する必要があるのです。

英語を英語として認識できるようになると脳の処理速度が上がるので聞き取れる範囲は広がりますし、音も余裕を持って聞けるため英語の意味も取れるようになります。

リスニングの最終目的は、「英語→英語」で理解することです。

英語で話している内容を知っている

これは結構見落としがちなことなのですが、英語の聞き取りには英語以外の要素が大きく影響していることが多々あります。例えば、僕は法律関係のことは一切わからないので、日本語であっても第○条の〜について、と言われても一発で理解することはできません。しかし、僕は経済学専攻なので、経済学のことであればある程度のことは1回聞けば大体何の話をしているのかはわかります。これは僕の日本語が問題なのではなく、知っているかどうか、です。

つまり、話している内容を知っているかどうかで、英語の聞き取りができるかどうかも変わってくるのです。

これに関してはどれだけ幅広い情報や知識を持っているのかに大きく依存するので、その範囲は限りなく広いものがありますが、最近起こったニュースや出来事など常日頃から情報をチェックしたり、大学等を目指す場合はその専攻内容を勉強するなど、対処法はいくらでもあります。ご自身の用途に合わせて勉強を重ねてください!

リスニングを伸ばすコツと3つの手順

英語を聞き取るための要素はわかっても、実際に聞き取れるようになるためにはその練習が必要になります。ここではリスニングをしやすくなるためのコツをいくつかご紹介します。これはあくまで僕の経験則から書いてあることなので当てはまらないこともあると思いますが、温かい目で読んでいただけますと幸いです。

英語のリスニングを伸ばすには最初の表現が重要

「英語は前から区切って理解する」という話を「文法」のところでお伝えしましたが、その大きな理由は、英語は最初の表現にその文章の大事なところが詰まっていることが多いからです。例えば、以下の例文を見てください。

This is the apple that my friend gave me yesterday

この英文は「これが私の友達が昨日くれたリンゴです」という意味ですが、大事な部分は「これはリンゴです」だけ。文法的には「S + V + C」になり、「友達が昨日くれた」という情報がなくても文が成り立ちます。英語でいうと「This is the apple」が一番重要な情報です。

つまり、文頭はその英文の本質を表すことが多いのです。

これを使ってリスニングにおいては文頭の表現に気をつけながら聞くようにすると、その英語の本質を聞いているので大まかな内容を外すことは少なくなります。全体を聞き取れるようになる必要はないので、まずは文頭だけを聞き取れるようにしてください!

リスニングに意識を置いて伸ばす

上述のように、英語は聞き流してもワカルようにはなりません。英語初学者の場合は特にそうですが、英語を適切に聞き取るようになるためには「意識的に」リスニングする必要があります。

意識するポイントは、聞き取れない音。

リスニングはワカラナイ音が一切ない状態、且つ英単語や表現の意味が全てわかった状態で初めて聞き取れるようになるもので、英単語や表現は音がわかった後に徐々に頭に入ってくるものです。

つまり、「音がわかるようになる→英語の意味がわかるようになる」という流れになるため、まずは音が聞き取れるようになる必要があるのです。リスニングする時は聞き取れない音を重点的に聞くようにしてください。

聞き取れない英語の音は何なのかを見つける

上述のように、リスニング力の向上には音の聞き取りが最も重要になりますが、音を正確に拾うために、リスニング時にやってもらいたいことがあります。

それは、聞き取れない音が何なのかを見つけること。

おそらく多くの人が聞き取れない音がリンキングや省略音、または文頭の微妙な音だと思います。単語自体はわかっていてもリンキングで音が変化したり、文頭の微妙な音がわからないと全く別物の単語のように聞こえてしまいます。特に短い単語同士がくっつくとその単語自体がわからなくなる場合があります。例えば、以下の英文を見てください。

The next service depart from platform 5 will be ~

このフレーズはメルボルンの駅で毎回流れる構内アナウンスなのですが、僕は「depart from platform 5」の「depart」の「de」が聞き取れなかったので、頭の中では「platform platform」と、同じ単語を2回繰り返しているように聞こえていました。文頭の微妙な音を聞けなかったせいで、後ろの英語との繋がりが見えなくなっていました。

リスニングする時はまず全体を聞き、自分が聞き取れないな、と言う部分にチェックを入れてください。その際、シャドウイングをすると自分がどこの部分が聞こえていないのかがはっきりとわかります。

人は聞き取れない音を発音することはできないからです。

シャドウイングの効果ややり方については以下の記事に詳細を載せいているので参考にしてみてください!

→シャドウイングの効果←

英語のワカラナイ部分だけをシャドウイングする

これは勘違いしやすい部分なのですが、リスニングの練習は英文全てを聞くことではありません。

ワカラナイ音だけを重点的に聞き取る練習をしていくのがリスニングです。

最初からリスニング全てを聞き取れる必要はなく、ワカラナイ音を拾う練習を積み重ねることで、次第に長い英文を聞き取ることができるようになります。また、人は聞き取ることのできない音を発音することはできないので、シャドウイングを繰り返し行うことで音を脳に刷り込ませることができます。発音することができれば聞き取ることもできるようになるため、暗唱できるようになるまで何度も何度も復唱してください。

リスニングを伸ばす時の5つの注意点

ここでは上述してきた中でわかりにくかった部分等多かったと思うので、リスニングをする上での注意点をまとめていきます。

リスニングの聞き流しは意味がない

これは何度も言ってきましたが、聞き流しの効果ははっきり言ってほとんどありません。特に音を拾うことのできない初学者が英語を聞き流しても、それは音楽を聴いているのと何も変わらず、脳は不要な情報としてそのまま受け流してしまいます。

仮に聞き流すとしても、全てがワカル英文、且つ暗唱できるものを使用してください。

暗唱できるくらいのものであれば通勤や通学している時に流していると、自然に口から英文が出てくるようになります。アウトプットを同時に行うことができれば聞き流しになることはないので、個人的にはそれくらいのものであればOKだと思います。

リスニングを「返し読み」で理解してはいけない

これも繰り返しお伝えしてきましたが、リスニングする時は「前から区切って」理解しなければなりません。日本語と英語では文構造が違うので後ろから訳しながら英語を理解したくなる気持ちはわかりますが、それだと最後の英文が聞こえるまでその意味を理解することができなくなるため、必然的に脳の処理速度も落ちてしまいます。特にリスニングは英文が終わっても次の英文がすぐに始まってしまうため、英文の最後を聞き終わってから理解しようしても間に合いません。

リスニングする際は、必ず前から意味を取るように意識してください。

最初は「意味」ではなく、リスニングの「音」に集中すること

また、英語の意味を取ることに意識を置きすぎると、リスニングの練習にはならない場合があります。まずは音を知っておかなければ意味を取ることはできないので、最初は必ず音が聞けるかどうかだけに集中してください。

音が聞けるようになり、且つ単語や表現の意味がわかっていれば、英文の意味はすんなりと入ってくるようになります。リスニングにおいては「音」を聞き取れるようになることが大前提です。

リスニングの時は文字やスペルは考えない

リスニングをしている時に話者の言葉を頭の中で思い浮かべてしまうことってあると思います。しかし、ワカラナイ単語や聞き取りができなかった表現を考えようとすればするほど、次に流れてくる英文を聞き逃してしまうことになるため、結果として、聞き取りができないことになってしまいます。

日本語を聞いてもその言葉や漢字を思い浮かべることはしないように、リスニングする時もできるだけ文字やスペルは考えないようにしてください。

短く、且つ簡単な英文をリスニングする

そして一番忘れがちなことですが、リスニングの内容は難しければ良いというものではありません。むしろ、どれだけ基本的で、且つ簡単なものを正確に聞き取れるかが大事になります。それは英文の長さも同様で、英文が短いほど文の切れ目をはっきりと認識できるため、英文を前から区切りやすくなります。

できる限り短く、簡単な英文を使ってリスニングをするようにしてください。

リスニングは伸ばすことができる!

僕は最終的にオーストラリアのメルボルン大学を卒業しましたが、最初からリスニングが得意だったわけではありません。渡豪当初はホストマザーの言っていることは一言もわからなかったし、IELTSのスピーキングでは面接官の「What is your full name?」という質問では「Full→Phone」と勘違いし「Mine is iPhone」と答えて爆死するなど、壊滅的でしたが、英語の音を一つずつ拾う練習をすることで、僕のリスニングは少しずつ伸びていきました。英語は自分の進歩具合がわかりにくいので「私の英語力って本当に伸びてるのかな?」と不安になることもあるかもしれませんが、英語の積み重ねは脳の中に着実に蓄積されていきます。

いきなり100歩進む必要はなく、1歩ずつで良いのです。

少しずつ、前進して行ってください。あなたのリスニング力が飛躍し、英語を自在に聞けるようになる日が来ることを、心から祈っています!

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