こんな疑問に答えます。
- スラッシュリーディングの速読効果
- スラッシュリーディングの3つのメリット
- スラッシュリーディンの効果を高める5つのステップ
- スラッシュリーディングを効率的に行う時の2つのコツ
- スラッシュリーディングにオススメの参考書3選
- 速読力を上げるために最後に必要なこと
僕はオーストラリアのメルボルン大学に進学・卒業しましたが、留学前は英文を読むのがかなり遅くてすごく悩みました。
留学前、英文を読むのがすごく遅くて結構悩んだ僕ですが、大学に入った後はわりと爆速で文献を読めるようになっていてその違いを考えた時に、以前よりも返り読みの癖が消え、英語を英語の語順のまま理解できるようになったな、と。
留学前よりも『スラッシュリーディング』能力が圧倒的に伸びた。— ちーや🇦🇺メルボルン (@chiyahenyMel) 2019年4月29日
速読力が上がれば英語のテストで良い点数を取れるようになるし、得られる情報もすごく多くなります。今回はスラッシュリーディングがもたらす効果と僕が行った全てのことをお伝えしていきます!
スラッシュリーディングで英語の速読効果とは?
英文をスラッシュで前から区切り、英語を英語の語順のまま理解すること。
この方法は同時通訳者が英語を一瞬で理解するために必ず取り入れている方法です。
同時通訳者は主にリスニングにおいてこのスキルを使用していますが、リーディングにおいても英文を読んだ後は脳内で音に変換するため、リスニングをする時と同様の過程を通ることがわかっています。
つまり、スラッシュリーディングを行うことで、同時通訳者のようなスピードで英語を理解することができるようになるのです。
少しだけ例文を見てみましょう!
この解釈って2通りあると思っていて
- これが昨日、友達が私にくれたリンゴです。
- これがリンゴです、私の友達がくれた私に昨日。
1はすごく綺麗な日本語でわかりやすいですが、2は少し片言で違和感ですよね。
でも、速読する時は2の方が圧倒的な差を生む正しい読み方なんです。
受験を経験した方であればわかると思いますが、英文和訳をする時は後ろから訳した方が綺麗な日本語訳になるので、最後の英語を読み切るまで内容理解を始めませんよね。それは日本語の文法的に後ろから訳した方が綺麗になるからです。
これは俗に「返り読み」と言われている方法ですが、この返り読みをしていると同じ英文を二度以上読むことになるので、時間的にロスが発生してしまいます。
しかし、スラッシュリーディングを行うと一回のリーディングで英文を理解できるようになるので、英文を読む速度が速くなるのです。
速読をするコツは、英語を英語の語順のまま理解すること。
この記事を通して、スラッシュリーディングができるようになりましょう!
スラッシュリーディングの3つのメリット
ここではスラッシュリーディングがもたらす3つのメリットについて具体的に掘り下げていきます!
1. 長文読解スピードが圧倒的に速くなる
スラッシュリーディングは「英語を英語の語順のまま理解する」ので、返り読みの時間的ロスを減らすことができます。
上の図は英文の内容を理解する時の思考の流れを「返り読み」と「スラッシュリーディング」した時の場合と比較したものですが、返り読みでは英文の内容を理解するのに少なくとも3回のプロセスを踏んでいますが、スラッシュリーディングでは1回の流れで理解することができます。
2. 難易度の高い英文も理解できるようになる
先ほどの英文を少しだけ拡張してみましょう。
(昨日友達がくれたリンゴがこの机の上にあるはずなんだけど、バナナしかないよ!)
この英文は長くて複雑に見えますが、スラッシュリーディングで区切ると超簡単になります。
The apple /that my friend gave me yesterday /should be on the table/ but I only can see bananas!
(リンゴ/友達が昨日くれた/この机の上にあるはず/でもバナナしかないよ!)
- the apple
- that my friend gave me yesterday
- should be on the table
- but I only can see bananas
すごく長ったらしかった英文が超簡単な4文になりましたね。1つの長い文章を一気に理解しようとすると脳がキャパオーバーを起こしますが、短い英文に区切ることで内容理解が一気に速くなるのです。
3. リスニング力も同時に伸びる
前述のように、スラッシュリーディングは同時通訳者が一瞬で英語を理解する時に使用する読解術なので、当然ながらリスニングにもすごく効果があります。
流れてきた英語を聞いた通りの語順で理解していくので、リスニングの理解スピードもかなり速くなるからです。
脳内ではリーディングでもリスニングでも英文を理解するプロセスを同じだと言われているので、スラッシュリーディングができるようになると、リスニング力も同時に上達していきます。
リスニングは音源のスピードに合わせてトレーニングを積むことになりますが、リーディングであれば自分のペースで学習を進めることができるので、ある程度英語の聞き取り練習を行ったあとはリーディングからリスニングを上達させる方が伸びやすいと思います!
スラッシュリーディンの効果を高める5つのステップ
ここではスラッシュリーディングの効果を高める5つのステップについてご紹介します!やり方がわからない人は、ぜひこの順番で勉強を進めてみてください!
ステップ1:スラッシュで区切る場所を覚える
スラッシュリーディングで区切れる場所は大まかに分けると6つあります。
- 前置詞や副詞の前
- 動名詞や不定詞の前
- 過去分詞の前
- 接続詞や疑問詞節、関係詞節の前
- カンマ、セミコロン、コロン、ダッシュの後ろ
- 長い主語や目的語、補語の前
スラッシュリーディングは英文をブロック毎に区切ることが目的なので、自分が区切りやすいところにスラッシュを入れていくのが基本です。
The dog/ sleeps/ all day.
(その犬/寝る/一日中)
ステップ2:準動詞(動名詞や不定詞)を区切る
英文読解の時に理解をややこしくしているのが、動詞の存在です。「英文の中に本動詞は1つしか存在しない」というルールがあるのですが、それ以外の動名詞やTo不定詞につく動詞が英文を複雑に見せています。
本動詞を見つけることができれば文の構造は80%以上わかることが多いので、まずは動名詞やTo不定詞で区切っていくことをオススメします!
- The gentleman/ talking with the lady/ is my boss.
(この男性/女性と話している/私のボス) - She worked hard/ to get /high mark in the final examination/ to proceed/ to university.
(彼女は大学に進学するために、期末テストで高得点を取れるよう一生懸命勉強しました)
ステップ3:前置詞や副詞の前で区切る
前置詞や副詞は英文を飾り付けしているだけなので、言ってしまえば、なくても良いものなんですよね。
例えば
(私の知る限り/その赤ワイン/テーブルの上の/輸入されている/オーストラリアから)
この文、長々しくなっていますが、本質の部分は「赤ワインは輸入されている」だけですよね。この文に、ワインの置かれている場所や特徴等の情報が追加され、複雑に見えているだけなのです。
そのうち、「As I know」「on the table」などの前置詞や副詞は英文を飾り付けているだけなので、スラッシュで区切ってしまえばすごく簡単になります。
- I’m walking/ in the park.
(私は歩いています/公園を) - To be honest,/ I feel sick/ today.
(正直なところ/風邪気味です/今日)
ステップ4:関係詞の前で区切る
そして、英文を最も複雑に見せているのが、この関係詞です。関係詞は文と文を繋ぎ、より詳しい説明する役目を担っています。例えば、以下の英文を見てください。
(テーブルの上にある青い本がまさに、友達が誕生日プレゼントにくれたものです)
この英文は「The blue book〜」と「my friend gave〜」の2つの英文がthat (which)で繋がれている構造になっています。最初は難しいと思うかもしれませんが、「Who, Which, What, Where, When, How」で区切られていて見つけやすいので、すぐにスラッシュすることができます。
- This is the girl/ who Tom is interested in.
(これが女の子です/トムが気になっている) - This is the café/ where I used to work.
(これがカフェです/私が以前働いていた) - I don’t have idea/ how to fix the machine.
(私はわからない/どのようにこの機械を直すのか) - I don’t know what to do.
(私はわからない/何をすべきなのか) - The hospital,/ which I used/ when I broke my arm,/ will be closed/ on Christmas Eve.
(この病院/私が利用した/私が腕を骨折した時/閉まる/クリスマスイブに)
ステップ5:接続詞の前で区切る
接続詞も関係詞と同じように英文と英文を繋ぐ役目がありますが、少しだけ違うのは、文と文が文法的に対等に並列されていること。
例えば、「talk」を「and」で繋ぐ場合、そこには動詞という文法的に役割の同じものが並べられる必要があるのです。「and, but, because, after, however」などが出てきたら、すぐさまスラッシュして「なるほど、同じ役割なんだな」くらいの気持ちで読んでいきましょう!
I would like to make a presentation,/ but some data/ to proof the theory/ is not enough.
(プレゼンしたい/でもいくつかのデータ/この理論を証明する/十分でない)
また、「I think/ suggest/ suppose/ expect」の後は接続詞Thatが置かれて文章が長くなることが多いので、要チェックです!
I think/ that she would probably keep saying/ that she want to study abroad,/ even if/ her parents were against it.
(私は思う/彼女は言い続けるだろう/留学したいと/たとえ/彼女の両親が反対しても)
同様に、「カンマ(,)」や「コロン(:)」で英文が繋がれている場合も、接続詞と同じような役割があるので、そこで区切ってしまいましょう!
- As soon as/ I got to the station,/ I rushed/ into the bathroom.
(瞬間/駅に着いた/私は急いだ/トイレへ) - He has 3 kids:/ Tom, Michael, Kevin.
(彼には3人の子供がいる/トム、マイケル、ケビン)
スラッシュリーディングを効率的に行う時の2つのコツ
ここではスラッシュリーディングを行う時に僕が気を付けていたことをご紹介します!
1. 区切る場所や英文の長さは文法的な不得意さで決める
英文をどこで区切ったら良いかわからない時は、自分が文法的にどんなものが苦手なのかによって決めてください。例えば、僕の場合、前置詞や副詞などは比較的得意だったので区切る英文がちょっと長くなっても結構スラスラ読めたのですが、関係詞と動名詞がすごく苦手で、この2つが英文にあるだけで速読スピードが大幅に落ちてしまっていました。
スラッシュリーディングの目的は、速読スピードを上げること。
自分のリーディングスピードがどこで減速してしまうのかを確認し、一番ネックになっているところを重点的に区切ると読むスピードは比較的早くなるので、ぜひチェックしてみてください!
2. 慣れてきたらスラッシュの数を減らしていく
最終的には最小限のスラッシュで読めるようになることが、スラッシュリーディングの目的でもあります。「区切るところ=英文の理解に時間がかかる部分」なので、苦手な部分を重点的にスラッシュし、大量に読みこなしていくと、だんだんと苦手意識も少なくなっていきます。
英文の構造が掴めるようになってくると次第にスラッシュしなくても英文を英語の語順のまま理解できるようになるので、結果としてリーディングのテンポも上がるようになります。
最初はスラッシュのオンパレードでも全く問題ありませんが、慣れてきたら少しずつ区切りを減らし、一気に読める英文を長くしていきましょう!
スラッシュリーディングにオススメの参考書3選
ここでは僕が実際に使用していたオススメの参考書をご紹介します!紹介する参考書は全てスラッシュリーディングに特化したもの、且つ英文が簡単なので、短期集中でスラッシュリーディンのスキルを身に付けたい人はぜひ参考にしてみてください!
スラッシュリーディングおすすめ参考書1:「究極の英語リーディングvol.1」
スラッシュリーディングの鉄板になっている参考書です。中学生レベルの英単語で英文が作られていて英語初学者でも読みやすい構成になっています。物語形式のものからTOEICやTOEFLで出てくるような、少しお堅めの英文など、バランス良く収録されているので、ストレスなく続けることができます。
そして何より特徴的なのは、スラッシュで区切るトレーニングが設けられていること。
スラッシュリーディングのやり方がわからなかった僕もこの参考書を徹底的に使い込むことで英語を英語の語順で理解する土台を作ることができました。
スラッシュリーディングおすすめ参考書2:「大学入試英語長文ハイパートレーニング」
「究極の英語リーディングvol.1」に慣れてきて少しだけレベルを上げたい時にオススメの参考書です。
スラッシュリーディングは前から英語の語順のまま理解することを目的にしているため、英文全体の構文理解を促すものではありませんでしたが、「大学入試英語長文ハイパートレーニング」ではスラッシュリーディングをトレーニングしながら、同時に品詞分解による精読も盛り込まれています。
難易度も「超基礎編」、「センターレベル編」「難関編」と段階的に分けられているので、自分にあったレベルで学習を進めることができます。
CDもついているので、スラッシュリーディングの練習をした後は音読教材として使用することもできます!
スラッシュリーディングおすすめ参考書3:「英語スラッシュ・リスニングトレーニング」
上記2つの参考書とは異なり、プロの通訳者がトレーニングする際に使用する最も鉄板な参考書です。
内容はリーディングよりも、どちらかというとリスニング寄りなのですが、第1章のところでもお伝えしたように、リスニングとリーディングは脳内で英語を理解する際に辿るプロセスは同じなので、リスニング用であってもリーディングに効果があるのです。
リスニングに特化して作られた参考書で、スラッシュリーディングの練習をシャドウイングに使用することもできるため、スピーキング力を伸ばしたい人にもオススメの参考書です!
英語長文の速読を上げるために、後はひたすら多読!
僕は元々英語の長文を読むのがすごく苦手で留学前はすごく悩みましたが、スラッシュリーディングを通して速読の土台を作り、後は徹底的に読み込むことでメルボルン大学でも大量の文献にも何とかついていくことができました。
数をこなしていけばいくほどスラッシュする数は減っていきますし、一気に読める英文も長くなっていきます。
速読力は瞬時に身に付くものではなく、徹底的な積み重ねによってのみ上達していくものなので最初はすごく辛いと思いますが、今回ご紹介した5つのステップを1つ1つ行うことで速読力は着々と伸びていきます。
スラッシュリーディングの力がつくとリスニング力も飛躍的に伸びるので、ぜひ頑張ってくださいね!