英語学習に文法って必要?文法欠落による5つの問題と英語力の関係性

「文法って必要なの?」

これは人によって意見が大きく分かれるところです。というのも、僕らが日本語を使うときに文法を意識して話すことをしないからです。同様に英語のリスニングやスピーキングをする時も文法を意識して取り組むと英語の意味を理解できないこともあるため、「文法不要論」が出てきてしまうのです。

しかし、もしあなたが以下のようなことを望む場合、文法は必ず必要になります。

・深い内容の会話がしたい

・自分の思いや気持ちをちゃんと伝えたい

・洋画を字幕なしで観たい

・ビジネスで英語を使いたい

上記1つでも当てはまる場合、文法学習が必ず必要になります。学校で習う文法ってすごくつまらないので「これって意味あるの?」と思うかもしれませんが、英語力を上級レベルにしたいと考えている人は、ぜひこの記事を参考にしてみてください!

文法ってそもそもどんなもの?

英語における文法とは、単語や文の繋がりをルールによって統一し、意思疎通が取れる状態にすることです。当然ながら、英語は単語や英文の繋がりによって構成されています。それが無秩序に並んでいるとしたら、理解できる範囲は狭まってしまいます。例えば、以下の日本語をみてください。

「このもらった昨日リンゴ友達からだよ」

パッと見た感じ、意味がわかりませんよね。使用している単語や表現が簡単なので伝わるかもしれませんが、文が長くなったり、少しでも難しい言葉を使ったりすると理解できなくなりますよね。では、これが以下のようになったらどうでしょうか?

「これが昨日友達からもらったリンゴだよ」

すごくスッキリしますよね。文法を正しく使うと、自分の思いや気持ちをはっきりと伝えられるだけでなく、伝えられる表現の幅や理解力を広げることにもなります。

上の図は僕の考える英語力の幅をイメージにしたものですが、そもそも単語力(表現やイディオム含)や文法によって表現できる英語力の幅は決まってしまいます。リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、どの要素においても、語彙力や文法力によって英語力は限定されてしまうのです。

つまり、高い英語力を求めるのであれば、文法力という土台は必要不可欠なのです。

文法を勉強する意義

上述のように、文法は英語力という根本を支える土台のようなものです。文法力が欠落すると、英語力の成長は途中で止まってしまいます。学校では文法は以下のような形で勉強することが多いと思います。

「以下の英文の()に当てはまる適切な語句・表現を記入しなさい」

受験においては頻繁に目にすることの多い問題ですが、これは文法をどれだけわかっているのかという「理解度」を測るものであって、どれだけその文法を使えるのかという「実践力」を見るものではありません。

文法を学ぶ本当の意義とは、英語を読めて、聞けて、書けて、話せるようになること。

決して文法の理解度を上げることではないのです。こと受験では点数を稼ぐことが何よりも優先されてしまうため致し方ない部分ではあるのですが、そればかりを見ていると文法を学ぶ意味や意義を見失ってしまいます。

文法は、英語を実践的に使うためのものです。

具体的には以下のようなことです。

英文法を学ぶ理由

・このような配列で単語が使われたら、こういう意味になる

・この表現を伝えたいから、この順番にする

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また、文法力が欠落していると、以下のようなことが起きます。

・理解できる英語の範囲に限界がある

・単語や英文の予測ができない

・英文理解のスピードが遅くなる

・英文を作ることができない

・英語の誤りに気付けない

1つずつ順番に解説していきます!

理解できる英語の範囲に限界がある

以下のStephen Coveyという人の名言を少しだけいじった英文を見てください。

「The greatest risk is not to take cost but to choose the risk of riskless living.」

1発で英文の趣旨が理解できたでしょうか?単語1つ1つの意味はわかるけど、英文全体の意味がわからなくて何度も見直してしまっていませんか?単語1つ1つは難しくなくても、文法的な繋がりが見えにくいため英語の意味も捉え辛くなっている状態です。文が長ければ長いほど固まりとして理解することが難しくなるので、英語の意味に意識が置けなくなっているのです。

リーディングであれば何度も見返すことができるため繰り返し見れば意味を理解できるようになるかもしれませんが、リスニングの場合は英文が絶えず頭に流れ込んでくる状態なので、脳はその処理速度に追いつくことができません。

そもそも人は、見て瞬時に理解できる英文でなければ、聞いて理解することはできません。

上記のような英文を読んで理解できない場合、リスニングしても理解できないのです。

単語や英文の予測ができない

また、文法はリスニングにおいても非常に大きな役割を果たします。文法は単語の並び方や英文の配置を決めるルールなので、会話の流れや英語の使い方から、単語や英文の予測をすることができるようになります。

逆に言うと、文法力の欠落は単語や英文の予測ができない、ということになります。

リスニングにおいて聞き漏らしは常に起きます。日本語においてもボーッとしていたら会話の内容は入ってこないように、英語においても意識していなくて聞き逃してしまった、なんてことは多々あります。そんな場合でも文法力のある人であれば「この単語の後にはこれが来る」と推測することができるので、会話の内容を予測することができます。

リスニングにおいても「What he realized in the office ~」と会話が流れ、その後を聞き逃してしまったとしても「What」が節を作って主語になるということがわかっていれば、その後にbe動詞が来るな、と予想することができます。大まかな予測を立てながらリスニングできると、準備をしている分脳の処理速度は上がるので、結果としてリスニング力が向上するのです。

英語理解のスピードが遅くなる

これは主にリーディングやリスニングに言えることですが、目から入る英文であれ、耳から入る英文であれ、上級レベルの英語力を求める場合、最終的には「英語は英語で理解できる」ようにならなければなりません。

通常、日本語と英語は分構造が異なるので、英語を見たり聞いたりすると後ろから和訳して理解したくなるのですが、それだと時間はいくらあっても足りません。特にリスニングは英文が次から次へと自分の意思とは関係なく流れ込んできます。後ろから理解しているようでは間に合わないのです。

そして、英語を英語で理解するためには、英文を前から区切って理解する必要があります。

英文を前から順に理解していくためには、英文のどこまでが主語(節)なのか、どの英文が何を修飾しているのか、など、文法的な繋がりが見えている必要があります。

文法力が抜け落ちていると、英語を理解するスピードは極端に落ちてしまうのです。

英文を作ることができない

文法という単語や英文配置のルールがわかっていなければ、英文をゼロから作ることはできません。英文を作ることができないということは、自分の考えや気持ち、思ったことを相手に伝えることができない、ということになります。

結果として、「英語が話せない…」「何て言ったら良いかわからない…」状態になります。

仮に英語のイディオムや表現を丸暗記していたとしても、それを使える状況は限られますし、表現できる幅もかなり限定的です。ボディランゲージ等を駆使して意思疎通することになりますが、人によっては苦笑されたり、上からモノを言われてしまったり、最悪の場合、相手にしてもらえないこともあります。

ビジネスなどのフォーマルな場であれば、意味の履き違えやマナー違反など、大きなトラブルに繋がる可能性もあるため、注意が必要です。

英語の誤りに気付けない

言語学においては、英語力の成長は自分のミスや穴を埋めていくことだとされています。自分の間違いや誤りに気付くことができれば、それを正しい方向へと修正することができるからです。

しかし、文法力が欠落していると、自分の間違いに気付くことができません。

英語をちゃんと話しているようで、実は意味の通らない英語を使ってしまっていた、なんてことも十分にありえます。仮に頻繁に使う言葉や表現であれば、それが頭に定着してしまっていると、正しい英語に修正することは中々難しくなります。

文法は英語力を底上げする

英語を勉強し始めたばかりの頃はワカラナイの連続で、何のために勉強しているのかわからなくなることもたくさんあると思います。特に受験英語に浸った人であれば、文法は小難しい話ばかりなので、そこに実践的な意味合いを見つけることはできないかもしれません。

しかし、文法は「英語力」を支えるベースになるものです。

英語力を伸ばしたいと本気で考えているのであれば、絶対に必要不可欠なものです。また、ある程度の英語力がついた人であっても、文法を再度学んで実践すると、英語力が極端に上がった人も、僕の周りにはたくさんいます。

文法は英語力を底上げする後押しにもなるのです。

机上の小難しい話だと切り捨てるのではなく、1種の実践的なスキルとして取り組んでいただけたらと思います。

文法があなたの英語力をそっと下支えするものであることを、心から祈っています。

 

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