文法は「英語」という言語を支える重要要素の1つです。英文は単語によって構成され、そのルール作りをしているのが文法だからです。リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング、どの分野においても文法は必ず使います。そして文法力が欠落していると、以下5つの問題が起きます。
・理解できる英語の範囲に限界がある
・単語や英文の予測ができない
・英文を作ることができない
・英語の誤りに気付けない
・英文理解のスピードが遅くなる
この5つの問題が起こると、特にリスニングとスピーキングにおいて英語力の成長は止まってしまいます。「英語全然聞き取れないな」「全然思い通りに言葉が出てこないな」という人は、ぜひ見てください!
学校で学ぶ文法と本当の文法
僕らが文法を勉強する時、きっと以下のような問題を一度は目にするはずです。
「以下の英文の()に当てはまる適切な語句・表現を記入しなさい」
主に高校受験や大学受験で遭遇する問題ですが、このような問題で点数を稼ぐことができる人は一般的に「文法が得意」という括りに分類されます。
しかし、これは「文法をどれだけ理解しているか」という理解度を測るものであって、「どれだけその文法を使えるのか」という実践力を試すものではありません。問題を解くことのできる知識にはなっていても、実際に使うことのできるスキルや技術にはなっていないのです。特に学校の文法問題は基本的に「一部を補う」ような問題が多いため、英文をゼロから組み立てることはあまりしません。
しかし、リスニングやスピーキングなど実践的なスキルに関しては、英文を頭の中で”ゼロ”から”瞬時に”作らなければなりません。
学校で求められているものと、実際に英語を使う際に必要なスキルは根本的に違うのです。なので学校で文法問題が得意だった人であっても、今一度文法力を確かめることで、英語力の底上げができる可能性があります。
文法力はリスニング力とスピーキング力を押しとどめる
おそらく多くの人が「洋画を字幕なしで観れるようになりたい!」とか「英語を自由自在に話せるようになりたい!」と考えているはずです。そして海外に飛び出し、いざ英語環境に飛び込むという人も少なくないと思います。しかしここで、こんな壁にぶつかると思います。
この壁の主な原因は、おそらく文法力の欠落です。
僕がそうだったのですが、メルボルン大学で出題される英語の文献をスラスラと読めるわけではなかったし、自分の考えや思いを100%伝えられていたかというと、決してそうではありませんでした。
それもそのはずで、英語学習において「英語を聞いて理解する力」と「英語をゼロから作り出す力」は根本的に脳のプロセスが異なります。前者は主にインプットをベースに右脳を使って頭の中にある答えとマッチさせて理解する能力ですが、後者はアウトプットとして左脳を全力で駆使します。どちらも脳の中で圧倒的な処理スピードが必要になるので、英語力においては高いスキルとなります。
上の図は僕の考える英語力の幅をイメージにしたものです。そもそも単語力(表現やイディオム含)や文法によって表現できる英語力の幅は決まります。そしてライティングやリーディングは視覚的に捉えることができ、且つ理解する際に時間をかけることができることができるので、脳の処理速度はそこまで早くありません。
しかし、スピーキングやリスニングはその場で1つずつ理解していかなければならないため、高い処理速度が求められます。
そして何より重要なのは、青で囲まれた「英語力」の幅は、単語力や文法力に大きく依存する、ということ。
言葉や文法を知らなければ聞くことも話すこともできないのです。
日本においては「学力=勉強量」という固定観念が根強く、ブルトーザーで砂を流し込む時のように、英語のニュースや映画など、英語をひたすら頭に流し込むと「英語ができるようになる」と思い込んでしまっている節がありますが、語彙力も文法力も欠落した状態で英語を大量に流し込んでも、英語を理解できる・使える範囲は決まっているので、その効果は非常に薄くなってしまいます。
語彙力も文法力も「完璧」は必要ありませんが、ある程度のレベルに達していないと「英語力」そのものを限定してしまう可能性が非常に高いのです。
文法とリスニングの関係性
リスニングにおいては絶えず英文が流れ混んでくる状態です。頭に入ってくる英語を聞きながら、同時に理解しなければなりません。英語を「英語」として理解するような状態でなければ、英語の聞き取りはかなり難しいのです。
「英語を英語で理解すること」を念頭に置いた場合、流れ込んでくる英語をその場で理解しなければなりません。通常、日本語と英語の文構造は異なるので、英語を学び始めたばかりの頃は英文を後ろから訳したくなるのですが、それではリスニング全文が言い終わってから理解するプロセスに入ることになるので、絶えず流れてくるリスニングに対処することができなくなってしまいます。
リスニングにおいて重要なのは、前から区切って理解すること。
聞いた英文をそのまま理解できる状態にしておかなければなりません。そして前から区切って理解するためには単語と単語の繋がりや文構造を理解していなければならず、結果としてそれは、英語のルールである「文法」の幅に大きく依存することになります。
つまり、文法力が欠落していると、リスニングは伸びてはいかないのです。
しかし、完璧な文法力や複雑な文構造を勉強しなければならないかというと決してそうではなく、中学生レベル、または高校レベルの文法力があれば、大半のリスニングには対処できるようになります。
大切なのは、常、基本です。
文法とスピーキングの関係性
スピーキングの話をする前に、少しだけ考えてほしいことがあります。
「昨日もらったこのリンゴ友達から」
この日本語を聞いて、どう思うでしょうか?意味は確かにわかります。でも、すごく違和感ありますよね。
「これが昨日友達からもらったリンゴ」
これであればすんなりと意味が入ってくると思います。英語においても同様に、適切な文法を使用すると伝える相手にとっては非常に楽なのです。「伝わればOK」説を唱える人が結構多くいますが、文法の欠落した英語は「相手に理解を強いる」ことになります。また、伝えられる幅にも限界があるので、必然的に会話力も低下してしまいます。
例えば、クラスに1人はいるような、難しい表現ばかりを使用して会話が成り立たない人。会話が続かないので「この人と話してると疲れるな…」って思うことってきっとあると思います。
文法が欠落した会話も同じようなものがあり、相手のわかりやすい表現で会話をするって、コミュニケーションを取る上である種礼儀のようなものだと、僕は思います。
「この人と話すの、面倒だな…」と思われてしまうことは、せっかく会話できるチャンスを失うことでもあります。いろんな意味で失うものが多いので、適切な文法を駆使してコミュニケーションの幅を広げてください!