今回は「名詞化・副詞化パターン」について解説していきます。
これまでの講座で英作文の作り方を6ステップに分けてお伝えしてきたと思いますが、今回はいよいよ名詞化・副詞化の変形パターンについて詳しくご紹介していきます。この変形パターンが使いこなせるようになると英文を自由自在に組み替えることができるようになるので、一見複雑そうな英文も比較的簡単に作れるようになりますし、表現の幅がグッと広がります。
留学や海外での日常生活でよく使う変形パターンは、全部で12パターン程あるのですが、1つ1つはそこまで難しくありません。文法的な解説も都度入れていくので、そちらもぜひ参考にしてみてください。
今回は12パターンのうち「パターン1〜4」までを具体的にご紹介していきます。それではいきましょう!
変形パターン①
パターン1つ目は、元の英文が「主語+Be動詞+その他(場所・状況・特徴)」だった場合なのですが、Be動詞を省略するだけで英文全体を名詞の役割へ変更することができます。恐らく言葉だけで聞いても分かりづらいと思いますが、実際に見てみると「あ、そういうことね」と直感的に理解できると思うので、早速ですが実際に英文を使っていきましょう。
例えば、こんな英文があったとします。
- That lady is in your room.
(あの女性はあなたの部屋にいます)
この英文には「is」というBe動詞があり、その後ろに場所を表す「in your room」がありますよね。このような文章の場合、Be動詞の「is」を省略するだけで名詞化することができます。つまり、
- That lady in your room.
(あなたの部屋にいる女性)
という名詞の役割に変更することができます。この名詞化した表現は、他の英文の主語や目的語の位置で使うことができます。例えば、
- <That lady in your room> is my friend.
(あなたの部屋にいる女性は私の友達です)
という風に、主語の位置に置くこともできますし、
- I found <that lady in your room>.
(私はあなたの部屋にいる女性を見つけました)
と、目的語の位置で使うこともできます。結構直感的に理解できるのではないでしょうか。
では、次は一緒に練習してみましょう。次の英文を名詞化するとどんな英文になるでしょうか?
- The assignment is due tomorrow.
(この課題は明日が締め切りです)
15秒ほど時間を取って、実際に英文を考えてみてください。
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いかがでしょうか?答えは、
- The assignment due tomorrow.
(明日が締め切りの課題)
今回はBe動詞の「is」を省略するだけなので、結構簡単だったんじゃないかなと思います。この名詞化した英文は主語か目的語の位置で使えると説明しましたが、今回の英文を名詞と目的語の位置に入れるのであれば、
- <The assignment due tomorrow> is too heavy for me.
(明日が締め切りの課題が私には重すぎます)
といった感じで主語として使えますし、
- I have to finish <the assignment due tomorrow>.
(明日が締め切りの課題を私は終わらせなければなりません)
と目的語として使うこともできます。
補足
いくつか注意点があるので、念の為にまとめておこうかなと思います。注意点1つ目は、主語が「 I / He / She / They / it 」の場合、基本的にこのパターンを使うことができません。例えば、
- I was in Melbourne.
(私はメルボルンにいた)
という英文を「I in Melbourne」とはできない、ということです。
注意点2つ目は、その他の部分に形容詞が置かれている場合はBe動詞の省略だけでは名詞化できません。例えば、
- The flowers are beautiful.
(この花は美しい)
という文章の場合、「the flowers beautiful」にはできない、ということです。形容詞がその他の場所に置かれている場合は別の変形パターンを使う必要があります。それが次のパターンですね。
変形パターン②
パターン2つ目は、元の英文が「主語+Be動詞+状態を表す単語(形容詞)」だった場合ですが、状態を表す単語(形容詞)を主語の前に置木、もともとあったBe動詞を消去すると英文全体を名詞の役割へ変更できます。これも言葉だけ聞いてもよく分からないと思うので実際に例文をみていきましょう。
- The flowers are beautiful.
(このお花は綺麗です)
こういう英文があった場合、状態を表す単語(形容詞)はここでは「beautiful」ですね。これを主語の前に置くだけで名詞化することができます。つまり、「The beautiful flowers」(綺麗なお花)」という名詞状態に変えることができます。ちなみに、形容詞を置く位置は「冠詞」と呼ばれる「 The / a / an 」と主語の間に置くことを注意してください。(「Beautiful the flowers」にはなりません。)
形容詞を主語の前に置いてBe動詞を消去することで単に状態や特性を表すだけでなく、その主語に焦点を当てた名詞の役割を持つ塊に変更することができます。使い方はパターン①と同じで、他の英文の主語か目的語の位置で使うことができます。例えば、
- <The beautiful flowers> are on the table.
(綺麗な花が机の上にあります)
と、主語の位置に置くことができますし、
- I am looking for <the beautiful flowers>.
(私はこの綺麗な花を探しています)
と、目的語として使うこともできます。
では実際に練習してみましょう。次の英文を名詞化するとどういう英文になるでしょうか?
- The movie was interesting.
(あの映画は面白かった)
また15秒ほど時間を取って、自分で実際に名詞化してみてください。
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いかがでしょうか?答えは、
- The interesting movie.
(この面白い映画)
結構簡単だったでしょうか?では、次のパターンへいきましょう。
変形パターン③
パターン3つ目は、動詞部分を動名詞(〜ing)、またはTo不定詞に変換する。これは学校で習う一般的なものなので、そこまで難しくと思います。例えば、
- I play baseball.
(野球をする)
という英文があるしたら、動詞部分の “play” を「動名詞」と呼ばれる進行形の形に変えて、「Playing baseball」にしたり、「to play baseball」みたいな感じで「to不定詞」にしたりすることで、名詞や副詞の役割に変換することができます。念の為復習しておくと、動名詞というものは「通常の動詞の原型に 〜ing を付けたもの」でした。つまり進行形ですね。使い方としては、主に4つです。
①主語として使う場合
<Running> is good for health.(走ることは健康に良い)
②目的語として使う場合
“She enjoys <reading>.(彼女は読書を楽しむ)
③前置詞の目的語として使う場合
She is tired of <waiting>.(彼女は待つことに疲れている)
④補語として使う場合
My favorite hobby is <reading>.(私のお気に入りの趣味は読書です)
ちなみに、勘の良い人だと「補語としての役割なのであれば、パターン②のような主語の前の位置に置いて名詞化できるんじゃないかな?」と気付いたかもしれませんが、さすがです。ただし、動名詞においてはパターン②は使えません。
- My favorite hobby is reading.
だと、「お気に入りの趣味」と「読書」って同じことを指してますよね。つまり「S=C」、主語と補語は同じことを言ってるので「Reading my favorite hobby」というような形で、主語と一緒に置くことはできません。これが動名詞ですね。
一方、to不定詞は「動詞の原形の前にtoを付けたもの」で、使い方としては主に4つあります。
①主語としての使用
”To learn a new language is hard.”( 新しい言語を学ぶことは大変です)
②目的語としての使用
”She wants to travel the world.”(彼女は世界を旅したいと思っています。)
(「to travel the world」が「wants」の目的語となっています。)
③補語としての使用
”Her dream is to become a doctor.”(彼女の夢は医者になることです。)
(「to become a doctor」が名詞「dream」を説明する補語になってます。)
④副詞としての使用
”He left early to catch the train.”(彼は電車に間に合うように早く出発した。)
(「to catch the train」が「left early」の理由や目的を説明してますよね。つまり、副詞的な役割になっています。)
では「動名詞」と「To不定詞」は何が違うのかというと、「動名詞」は主に「行為や状態」を示す時に使われるのに対して、「to不定詞」は「目的や理由、意図」を示すのに使われます。どちらを使用するかの基準はその時々の文脈や、特定の動詞や形容詞との組み合わせによって変わります。例えば、 “enjoy” の後ろには動名詞が来ることが文法的に決まっているので、
- I enjoy cooking.
という風にしなければならないし、「want」の後ろには不定詞が来る、と決まってるので、
- I want to cook.
という風ににしなければなりません。つまり、英語を話すための勉強として重要なのは、英単語単体で覚えるのではなく「英語を塊として覚えて、使えるようにすること」です。スピーキングの前提動画で「英語は塊として一緒くたで覚えましょう!」とお伝えしたと思いますが、その理由がこれになります。
会話する時に、
- 前置詞が付くのか、付かないのか
- 動詞は進行形か、to不定詞か
なんて1つ1つ考える時間はないので、一緒くたで覚えて、即使える状態にしておく必要があります。「この辺ちょっと抜けてたな」と思った方は、ぜひ前提の講座をもう一度復習してみてください。
少し長くなりましたが、パターン③は元の英文の動詞部分を動詞の進行形やto不定詞に変えるだけなので、変形自体は特に難しくはないかなと思います。問題は動名詞やto不定詞に変形した後に「どの位置に挿入して使ったら良いのか」という部分だと思います。僕もそこで悩んだのですが、ここについては主語、目的語、補語、副詞の位置に挿入する練習問題をそれぞれで用意しているので、そちらで挿入練習を行ってみてください。
ちなみに、副詞の役割はto不定詞にしかなく、動名詞で副詞化することはないので注意してください。
変形パターン④
パターン4つ目は、元の英文の中に「名詞+to不定詞」がある時、名詞以下の文をそのまま切り取り名詞化できます。これはある種パターン③の応用にはなりますが、元の英文の中に「名詞+to不定詞」がある場合は「名詞+to不定詞」だけを切り取ることで名詞化することができます。例えば、
- I need someone to help.
(助けてくれる人が欲しい)
という英文があったとしたら、「someone to help」の部分が「名詞+to不定詞」になっていますね。名詞化する場合はここだけを切り取ります。つまり「someone to help」で名詞の役割になります。この切り取り方の場合、主に3つの位置で使うことができます。
①主語としての使用
Someone to help will arrive soon .(助けてくれる人はすぐ来るよ)
(「助けてくれる人」という主語になってます。)
②目的語としての使用
I need someone to help. (助けてくれる人が必要です)
(「someone to help」が目的語です。)
③補語としての使用
He is the person to talk. (彼が話すべき人です。)
(Heとpersonは同じ人、つまりは「S+V+C」の構造で、”to talk” は “person” を具体的に説明する補語の一部として機能してます。
主にこの3つの使い方がありますが、このパターンは結構使えるシーンが多いです。例えば、
- I need a tool to open this bottle.
(このボトルを開けるための道具が必要だ。)
(文脈的に)探してほしいな、、、みたいな指示を出すニュアンスとしても使えますし、
- We require a room to hold the meeting.
(会議を開くための部屋が必要なんだよね。)
というような文章の場合、「何のための部屋なのか」という具体的な状況などを説明することもできます。つまり、「名詞 + To不定詞」の構造を使うと英文をより具体的、かつ明確なものにすることができます。このパターンも切り取るだけなので
そこまで難しくはないと思うのですが、パターン③と同じように他の英文へ挿入する位置が少し難しいので、実際に挿入する練習は必要かな、と思います。
このパターンの練習問題でいろんな位置に挿入するケースを用意しているので、そちらでぜひ取り組んでみてください。
今回のまとめ
今回紹介した名詞化と副詞化の4つの変形パターンを復習しておくと、
パターン①:元の英文が「主語+Be動詞+その他(場所・状況・特徴)」だった場合、Be動詞を省略するだけで、英文全体を名詞の役割へ変更できる。
パターン②:元の英文が「主語+Be動詞+状態を表す単語(形容詞)」だった場合、状態を表す単語(形容詞)を主語の前に置いてBe動詞を消去すると英文全体を名詞の役割へ変更できる。
パターン③:動詞部分を動名詞(〜ing)、またはTo不定詞に変換する。
パターン④:元の英文の中に「名詞+to不定詞」がある時、名詞以下の文をそのまま切り取り名詞化できる。
初見だと結構難しいパターンもあると思いますが、それぞれのパターン毎の練習問題を用意しているので、今回の動画を参考に必ず実践してみてください。次回はパターン5〜12まで一気に練習していきます!今回は少し長かったですが以上になります。お疲れ様でした。
動画内だとわかりづらいかもしれませんが、
下記資料を見ると直感的に理解できると思います!